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CINNAMON HOUSE 
2024. Residence

五感を潤す、結びの住まい

 

施主夫妻は、人生の終盤を見据え、車に依存した生活から徒歩圏で暮らしが完結する都市生活への移行を選択した。

本計画で考えたのは単なる住み替えではなく、人生の終幕に向けて暮らしそのものをどのように再編集するかということであった。

 

敷地の制約を逆手に取り、閉じすぎず、開きすぎず、外部との緩やかな距離感を設計した都市の住まいである。テラスの木ルーバーや障子のある大開口が光や風、視線を繊細に調整し、街との関係を保ちながら静謐な暮らしの場を整えている。

住まいは三層で構成される。2階にはLDKと水廻り、小さな個室、デッキテラスを配置し、この階だけで生活が完結する計画とした。1階の仕事場は将来的に居室へ転用できるよう車椅子対応の水廻りを備え、3階にはゲストルームと個室を設けている。現在の暮らしと将来への備え、そして家族とのつながりを重ね合わせた構成である。

 

シャープなガルバリウムのファサードが街に対して凛とした佇まいを示す一方、身体が触れる内部は無垢材、タイル、カーペット、織物クロス、漆喰など、質感豊かな素材によって構成した。特に色むらや艶感をもつタイルは、ミニマルな空間のなかに光や時間の変化を映し込み、静かな潤いとゆらぎをもたらしている。

歳を重ねるにつれて、大きな出来事や新しい刺激は少しずつ減っていく。一方で、家で過ごす時間は増え、光の移ろい、風の気配、素材の表情といった日常の些細な変化に目を向ける余白が生まれる。室内は

 

花鳥風月とは、豊かな自然そのものではなく、それを受け取る感性のあり方とも言えるのではないか。

本計画は、都市のなかに暮らしながら、日々の小さな変化を味わい、人生の時間を穏やかに結んでいくための住まいである。

施工:もみじ建築

撮影:北村徹

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